エクストレイルの特徴

エクストレイル対SUVライバル比較

   

ここ数年の市場傾向を分析したところ、SUVの売れゆきは「基本横ばい」であるという。

 

とはいえ、2012年後半にはスバルフォレスター、三菱アウトランダーがモデルチェンジし、マツダCX−5がデビューするなど、ミドルサイズSUVの魅力があるニューモデルが相次いで誕生した。

 

さらにひとクラス下のカテゴリーでは昨年末にホンダヴェゼルが登場したり、ちょっと古くなったとはいえ日産ジュークが安定した高い人気を誇るなど、「感覚的」にはSUVマーケットが活気な印象。 

 

ちょうどその時で2013年10月には日産エクストレイルが3代目へとモデルチェンジを発表して、11月には、10年間継続生産された2代目が一時販売休止されていたトヨタハリアーが新型に進化して復活するなど、ガチンコでライバル関係となるミドルサイズSUVが集結した。 

 

そんなわけで、とことんミドルサイズSUVのライバル関係を比べていきたい。

 

3代目エクストレイルはどんなクルマ?

一般公道での試乗の機会がなかなかなかった新型エクストレイルだが、やっと試乗がかなって、感触をお届けしよう。

 

最初に概要。初代→2代目とスクエアなボディフォルムで存在感を強調したエクストレイルだが、今回の3代目ではガラリとイメチェンを行って、これまで以上にスタイリッシュな印象に。

 

ボディサイズは全長464 0o、全幅1820o、全高1 715mで全長はプラス5o、全幅はプラス30o、全高はプラス15oそれぞれ2代目に対し大きくなっている。

 

2代目の方が背高に思えるけど、実は新型が高いのはちょっと意外。

 

全体に大きくなっていることと、曲線を使ったフォルムの印象により、さほど背を高く感じさせないわけだ。

 

CX‐5、八リアー、フォレスターなどと比べても全高は最も高く、ホイールベースも最長。全長、全幅はハリアーがちょっとだけ大きいのだが、実際に運転した時のサイズ感は各車ほぼ同じと考えていい。 

 

エンジンは147ps/21・1smを発揮する直4の2Lガソリンエンジンのみ。2代目ではクリーンディーゼルをいち早く搭載したエクストレイルだが、新型にディーゼルの設定はなく、2代目を継続販売中。クリーンディーゼルがアピールポイントとなっている。

 

CX‐5、八イブリッドも搭載するハリアー、2L直噴ターボを用意するフォレスターと比較すると、パワートレーンカアピールは少々欠けているといわざるを得ない。

 

もちろん、2LNAエンジンは普通に一般道を走らせて何の不満もないので、実用上文句はいっさいないのだが、それでもディーゼルターボのものすごいトルクや、八イブリッドからくる独特のドライブフィールと燃費直噴ターボの力強い走りと比べて、「選択肢がない」のはガッカリ。エクストレイルには「1年後にハイブリッドが追加される」と案内されているが、ハイブリッドの登場を心待ちにするユーザー予備軍も多いと思う。

 

SUVとしての力は

新型エクストレイルの4WDメカは基本的に2代目から継承したオールモード4×4i。

 

要するにスタンバイ4WDだが、電子制御タイプで、オートモードの他にFF固定モード、4WD固定モードを備えて、雪道などでも力強いトラクションを発揮する。

 

その点、細かい制御の違いはあっても、基本的なメカニズムの考え方はCX−5もハリアー(ハリアーハイブリッドは後輪をモーターで駆動する4WDを採用)も同じ。通常はFF状態で走行して、アクセル開度や舵角、ヨーレートなどをセンシングし、必要に応じて後輪にトルク配分を行う。一般的な雪道だとすれば、充分なトラクションと走破性が実感できるという。最低地上高は205oあり、2013年 12月のオフロード試乗会ででも高い悪路走破性を実体験することができた。

 

その一方で4WD性能で一歩以上前面に出るのはフォレスター。

 

CVT車はアクティブトルクスプリット4WDを採用するが、常時後輪にもトルク配分されているので、やはりトラクション、エンジンブレーキ時ともに路面をとらえる力強さがあるからだ。

 

他には、MT車はセンターデフ方式フルタイム4WDなので、これについては圧倒的なトラクションとスタビリティを得ることができるので、本格派SUVの4WD性能。

 

「もう一歩踏み込んだ」悪路走破性を求めるのなら、フォレスターが安心感がある。

なんといっても魅力は3列シートの7人乗り

新型エクストレイルには3列シート、7人乗り仕様か設定されるのがポイント。

 

実際にサードシートに座ってみたけれど、あくまでもエマージェンシー。

 

ある身長175pの男性が座った場合、ギリギリ座れないことはないけれど、長距離はキツイ」というのが正直な感想。

 

3列シート車では2列目シートがスライドするので、1段前に出して何とか足が収まるスペース。

 

意外にも、ヘッドクリアランスはしっかりと確保されていて、普通に座って頭が天井に当たることはなかったのだ。

 

3列使用状態で2列目シートに座ってみたが、若干膝頭が前席に接触する程度で、しっかりと2列目のスペースは確保されている。

 

このクラスのSUVに3列シート車はないので、これは大きなアピールポイント。ちなみに、3列シートモデルは受注全体の約30%だという。

このサイズのSUVは魅力がたっぷり

基本的にはフラットライトで快適な印象。

 

SUVというと、最低地上高が高く、サスペンションストロークが大きく、タイヤが大きく重いこともあり、どうしてもハタハタした印象を持つ人もいるだろうが、特にそのようなネガはなく、普通の4ドアサルーンに乗っているかのような印象。

 

フォレスターは.バタバタはしないものの、やはりSUVライクな乗り味だし、CX−5はやや硬い乗り心地。乗り心地についてはハリアーとエクストレイルが一歩リードする。

 

新しいエクストレイルはエマージェンシーブレーキ装着グレードが設定されるなど、先進安全装備も満載され、スバルのアイサイトやマツダのスマートシティブレーキサポートなどと肩を並べる。

 

ハリアーのプリクラッシュセーフティは完全停止までをサボートしておらず、一歩遅れている印象。どの車を選ぶかはあなた次第。