アクセラの進化

アクセラがついに進化

 

クルマが大好きな方にとって2013年一番気になる存在だったのはアクセラでしょう。 

 

最近の日本車は燃費やコストパフォーマンスを必死に追求しているものの、ヨーロッパ車とガチで、クルマの奥行き勝負できるかとなれば厳しい。

 

2013年のフランクフルトショーでもアクセラは元気ない日本勢のなかで唯一、光っていたのです。

 

すでに車雑誌でもプロトタイプの試乗レポートをお届けしているけれど、残念ながらディーゼルとハイブリッドが間に合っていなかった。

 

改めて、ガソリン、ハイブリッド、ディーゼルを乗り比べて、思いきり味見してみました。 

 

最初にガソリンから

 

思っていたよりも元気だったのが新登場の1・5LのSKYACT−V‐G(111PS/ 14・7sm)搭載モデル。

 

この1・5Lエンジンはアクセラスポーツとセダンに搭載されている。

 

中回転域まで賑やかな音を出すも、1・6L級エンジンに匹敵するくらいのトルク感があり。 

 

高回転域になれば音質アップし、なかなかの好印象である。

 

CVTとの相性がよいので、普通に走るならこのエンジンで充分といった感想。足回りもすばらしい。

 

ボディの剛性感が高く、ヨーロッパ車風。

 

2L SKYACT−V‐G(155PS/ 20・0sm)は乗り心地もエンジンも普通の仕上がり。個性という点では弱いので、人によっては縁遠いかもしれません。

 

ハイブリッドはプリウスとどう走りは違う?

続いてハイブリッドのセダン。

 

システム自体はプリウスとほば同じだと思ってよい。

 

モーターも動力分割機構もインバーターも共通。99PS/ 14.5smのエンジン出力とトルク、モーター出力とトルクの82PS/ 21.1smまで同じ(プリウスは1・8L、アクセラは2L)。味付けのみマツダのオリジナルだと思っていただければよかろう。

 

参考までに書いておくと、プリウスの場合、同じアクセル開度でもECOモードだと出力を抑えてあり、パワーモードだとパワーを出す方向。

 

マツダは切り替えモードをやめてアクセル開度に対し素直なパワー特性を持たせたようだ。プリウスの通常モードのようなもの。

 

というわけでドライバビリティは大差なし。しかし、エンジンの始動が驚くほどに滑らか。

 

考えてみたらマツダってアイドルストップ技術を構築する際、再始動のタイムラグを減らすためエンジン停止時のシリンダー位置コントロールまで行っていたのだ。

 

その技術を投入したよう。

 

これ以外には直噴だから燃料の吹き方も細かく制御できる。エンジンフィールはプリウスより良好。

 

JC08モード燃費はアクセラHVが30・8q /L、プリウスは燃費スペシャル車のLは32・6q /L、ほかのグレードは30・4q /L。

 

参考までに書いておくと、プリウスより燃費いいのは主としてタイヤの差と考えられます。システムとしてはイーブンかと。

 

アクセラHVの圧倒的な優位点が乗り心地。

 

現行プリウスが出た時から「これでシャーシがVWゴルフと同等だったら世界一の実用車なのに。」と書いてきた。

 

アクセラHVのハンドルを握って走り出すや「コレでしょ」。正しくゴルフのシャーシを持つプリウスだ。

 

乗り心地、圧倒的に違う。

 

路面からの細かい入力はしっかりと抑え込んであるし、そもそも質感からして高い。

 

静かなハイブリッドの持ち味を存分に引き出せている。それでいながら装備を合わせればプリウスよりお買い得なのだ。

 

2・2Lディーゼルの走りにビックリ

最後は誰もが一番気になるディーゼル。

 

まだ型式認定されていないということで燃費は未発表。

 

「燃費より走りです。数値はアテンザと同等と考えてください。 22q /Lあたりかと思います」。 

 

6速AT車から味見しましょう。

 

Dレンジをセレクトして走り出すと「おおう」。トルクフル。

 

スペックは175PS42 ・8sm。

 

なんといってもトルクは4・5Lのガソリン車に匹敵。普通に踏んでも元気。 

 

踏めばトルクが出てくる。ギアの繋がりも文句なしで走行中にもかかわらず、ディーゼル特有の音は気にならず、振動は皆無に近い。

 

何より乗り心地がハイクオリティ。

 

聞いたらディーゼルだけ専用のダンパーを奢っているそう。

 

微少入力をキッチリといなして、大きな入力が入ればドッシリと受け止めてくれる。正統派の足回りである。

 

どうしてこんなによい足に仕上げられたのか不思議。CX−5もアテンザも、発売後もサスペンションを進化させ、相当よいレベルに仕上げてきていた。

 

されど新型アクセラのディーゼルは一段とレベルが高い。

 

現在発売している日本車で最も快適だ。300万円の予算があるなら、迷うことなくアクセラのディーゼルを賈うべし。 

 

そんなことを考えながらマニュアル仕様に乗り換え、走り出す。

 

するとどうよ。「コレっつきゃないでしょう」。

 

トルク特性がグループNのラリーカーに極めて近い(車重も1430sでラリーカーと同等)。

 

2000rpmくらいで最大トルクになり、4500rpmまでパワーダウンしない。

 

ガソリン車より早めにシフトアップしたって充分以上に速いのだった。しかも6速AT車よりタイムラグが小さく、意のままに操れる感じ。

 

アテンザにも言えることながら、ディーゼルエンジンはマニュアルで乗ったほうが圧倒的に楽しいし、実用燃費だってよい。

 

最近のガソリンエンジンを見るとマニュアルよりATのほうがカタログ燃費で優れているけれど、ディーゼルについちや逆転する。

 

しかもアテンザのシフトフィールときたら「すばら しい」というレベル。日本車のマニュアルミッションのなかじゃN0.1といってよかろう。

 

価格は298万円と安くないが、BOSEのオーディオから自動ブレーキ、ナビ、アダプティブグルコンすべて標準です。

 

ディーゼルに限らず新しいアクセラは全般的に装備内容が充実している。ハイブリッドもナビ標準装備。

 

インテリアなんかCセグメントなのにソフトパッドを使っている。居住スペースも後席に身長175pの大人が座っても膝前、頭上空間ともにこぶし1個分入る、ゴルフとほばイーブンじゃなかろうか。

 

マツダというメーカー、少し収益に余裕できるとクルマに使っちゃう。そのあたりが弱点であり、クルマ好きからすれば魅力なのだった。

 

アダプティブグルコンが停止まで制御してくれ(現状は30q/hで解除)、自動ブレーキを歩行者でも行ってくれるようになれば最有力候補。

 

アクセラのなかで間違いなくディーゼルがN0.1です!